ラスト

○10月29日:ホームビデオ記念日
       →1969年、家庭用VTRの開発発表。ベータよサラバ。
 
 
++
 
 
昨日のうたばん、かわいかったなぁ、大塚愛(笑
黒のフレアミニに黒のブラウス。
そしてニーハイ・・・
 
 
++
 
  
僕は向きを変えられた勢いを利用し、そのまま正面からR子を抱きしめた。
 
 
 
しかし、本当の優位は僕の方にあった。
R子にはすまないが、全部計算ずくだったのだ。
背中を見せて恥ずかしがるのも、勢いを利用するのも。
 
 
 
もちろん僕の言った内容や考えは全て本当だったし、ウソはついていない。
正直に、全てを語ったのだ。
 
 
ただ、その表現方法に於いて、少し工夫しただけだった。
 
 
僕は抱きしめた手に力を入れた。
そして小さな声で「ホントだよ、ずーっと気になってたんだよ」と言った。
R子は黙ったままそっと僕の身体に手を添えていた。
 
 
 
僕はR子の髪を撫でながら、しばらくその体勢でいたのだが、
そっと顔を逸らし、軽くキスをした。
 
 
 
R子は驚いたような顔をしていたが、嫌悪感は感じられなかった。
僕がクスっと笑うと、R子もつられて笑い、もう一度キスをした。
そしてまたR子を抱きしめた。

 
 
僕はこれ以上のコトはする気は無かった。
ここで強引に襲ったりしたらロクでも無い結果になるだろうし、
何かの拍子にR子の父親の耳に入ったら、ブっ飛ばされるのは確実だった。
 
 
 
 
僕自身の感情として、確かにR子の事は気に入っているし、良い子だと思う。
でもそれは、まだそこまでの感情でしかなく、恋焦がれている訳ではない。
 
 
 
今回はたまたまキスをしてしまったが、それでお互いの状況が変わるコトはないだろう。
その先に進んだら、どうなるか分からないけれど。
そもそも、その先に進むかどうかも分からない。
 
 
 
 
でも変化が起こるとしても先の事だろうし
今の僕には「変化を起こしたい」という強烈な感情は無かった。
ただ今は、ゆっくりと変化を待とうかと思う。
今まで20年も付き合ってきたのだ。今更焦っても仕方がない。
 
 
 
しかし、もしR子が僕に嫌気を刺し、誘いに乗ってくれなかったら諦めるしかない。
例えば家に入れてくれなかったり、抱きしめたら逃げられたり。
その可能性は多大にあるのだが、仮定を繰り返しても仕方がない。
 
 

  1. +

 
 
帰り際、R子は「ゴハン、美味しかった。今度は何を作ってくれるの?」と聞いてきた。
どうやら最悪の事態だけは避けられたようだ。
 
 
 
「何が食べたい?」と聞くと、暫く考えて
ビーフシチュー」と答えた。
 
 
 
 
ビーフシチューですか・・・・
作った事無いって。。。。
 
 
 
 
やれやれ。少し勉強しておくか。
 
 
 
 
ビーフシチューね。オッケー。勉強しとくよ(笑」と僕は請け負った。
「うん。楽しみにしてるね」
 
 
 
 
僕はR子の頭を撫で、玄関を開けた。
外はまだ雨が降っていたが、それほど気にはならなかった。
 
 
 
 
 
終わり★
 
 

  1. +

 
 
後日談・・・
 
 
 
 
ビーフシチューを作るのは、やはり決定しているようです。
マジで作り方覚えなきゃ。