その3




○2月18日:冥王星発見(1930年)
 
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050218-00000019-spn-ent あびるU・・・



「いや、言ったといってもさ」
僕はその時の状況を少しずつ思い出し、後輩に話し出した。






花子の相談は最初「言い寄られて困ってる」という内容だった。
次に自分の身体的魅力を次から次へと語り(本人にとっては自慢)
それが「アタシってこーゆートコがあるんです・・・」という内容に変わり
最後は「アタシ、だめな子ですよね」みたいな感じになったのだ。




いくら僕でも良く知らない子が「ダメな子ですよね」と言ったら
「そうだね、ダメだね」とは言えないし
「そんな事ないと思うよ」と答えてしまう。






ましてや
「アタシみたいな子って、好きですか? それとも嫌いですか?」
と聞かれれば「別に嫌いじゃないよ」と答えるし
「じゃぁ好きですか?」と追い打ちを掛けられれば
「まぁ、好きな方かな」としか答えられない。






つまり、僕は二者択一状態で「好き」と言わされたのだ。
そんなの僕にしてみれば社交辞令以外のナニモノでもなかった。








やられたな、こりゃ。








その後、花子の相談に関しては
「困ってる困ってる」と言いつつも
言い寄ってくる相手に対しいい顔を続けているので
僕はアホらしくなって、相談に乗るのを止めた。


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その経緯を後輩に話しながら、僕は段々と花子の手口が分かってきた。




まず
1・さほど困っていない事で僕の気を引き




2・(絶対の自信を持った)自分の魅力をアピールし
  →これでオトコがなびくと信じている




3・「好きか嫌いか」という二者択一で「好き」と言わせ
  →花子にとっては「告白された」という事になる




4・その後、あまり話しをしなくなる(僕としてはアホらしいから)
  →花子にとっては「アタシが振ったから話しをしてくれない」と解釈する




5・結果として、花子は「ぽん先輩すら振っちゃった♪」と自慢の種になる
  →自慢じゃないが、高校の時、僕の知名度は異常に高かった




というストーリーなのだ。






花子は
1の事を10にも20にも膨らませ
自分の都合が良い方向へ持っていく素晴らしい想像力を持ち合わせ




何の根拠も無いが、自分に絶対の自信を持っており
そのアピールでオトコがなびくと信じ込んで




その結果を全て「アタシの魅力がオトコを狂わせてるのね」と
周囲に言う事が出来る常人離れした精神力を持った子なのだ。




僕はそれが分かった時
これは負けだな、と素直に思った。




きっと花子の回りにはその「繊細な性格」が分からない取り巻きが大勢居るだろうし
そこへ僕が対抗しても「振られた男のヒガミ」としか見られない。




後輩は「アタシ、本当の事、みんなに言いましょうか?」と言ってくれたが
そんなコトをしたら、後輩にも迷惑がかかってしまうので
「良いよ、何もしなくて」と僕は言った。




後輩は「でもイヤじゃないですか? 振られたって思われてるのって」と心配してくれたが




「別に振られたって言われるのはイヤじゃないけどさ
 花子に惚れたと思われてるコトの方が死ぬほど屈辱だね(笑




と言っておいた。




☆続く☆