2:N子とY子


○4月22日:ポール牧忌日(2005年)
 →飛び降りたそうな・・・

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http://hoshinooujisama.jp/ 今年もやるんだ〜

三段活用のカウンターパンチで、どうやら少し動揺しているようだった。
やれやれ、面倒な事にならなければ良いけど。


僕はそう思い、会社に向かう事にした。


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そもそものきっかけは、数日前のメールからだった。


 Y子ちゃんと話しをしてたんだけど、ちょっと凹み中。
 宙ぶらりんな感じじゃなくなってきちゃった。
 どうしよう。





N子からそんな感じのメールが届いたのだが、僕には何を言っているか分からなかった。
だから「何が?」と言った感じのメールを返信したのだが、返事は無かった。


その日の夕方、突然N子から電話が来た。
「今日、○○から直帰するんだけど、会えない?」
僕は、その意味不明なメールの事もあったので話しがしたかったのだが
どうも仕事が終わりそうに無い。


そう伝えると「じゃぁ会社の近くまで行く」とN子は言った。




数時間後、僕は会社を抜け出し駅に向かった。
N子は疲れているのか、少しやつれているような感じだった。


「大丈夫? 顔、すごい疲れてそうだよ?」と聞くと
「多分、寝不足。今日も朝方まで旦那とケンカしてたし」と
ややあきれ顔でN子は答えた。




近くの喫茶店に入り
「一体どうしたの? あのメール、どういう意味?」と僕は聞いた。
「こないだY子ちゃんとゴハンに行ったでしょ、アタシ」
「うん」
「そこでね、ぽんの話が出たの」
「僕の?」
「うん。それでちょっとね、ショックを受けてさ」
「ショック? 一体、どんな話しをしたの?」
「教えない。言ったら絶対言いくるめられちゃうし(笑」
「そんな事ないよ(笑」
「ううん。言いくるめられる。口じゃアタシ勝てないし。
 それにY子ちゃんにも悪いし。彼女、関係ないし」




確かに何日か前、N子とY子は食事に行っていた。
それは僕も知っている。
きっとその場でたまたま僕の話が出たのだろう。
でも一体、何の話でショックを受けたのか分からなかった。




僕がY子と込み入った話をしたのは1年以上前の事だったが
どんな事を話したかは覚えていなかった。


しかし「ショックを受けた」と言うからには相当な事なのだろう。
最も知られてはいけない事は、N子の友達と7〜8年前に関係を持った事だが
それは今まで誰にも話した事が無かった。


すると結婚してからの出来事(K子とかI子さんとか他色々)が残るのだが
それだって詳しく話した覚えは無い。


せいぜい、「結婚してから、何人かは関係あったよ」くらいにしか
言っていないはずだ。




でも僕がN子に「○○ってヒトの事?」とか聞くわけにはいかない。
もし違う事だったらやぶ蛇になってしまう。






「ねぇ、何の事でショックを受けたの?」
僕は何も気付いていないフリをして尋ねた。

「ナイショ。考えてみなよ。わかんない?」
「う〜ん・・・・・・なんだろう。わかんないや」
「ホントに? 思い当たる事、無いの?」


・・・




・・・・・


いや、その・・






あり過ぎて分からないんです・・・・(笑
 →笑い事じゃない




「う〜ん、、なんだろう。ホントわかんないや」
僕はそう答え、タバコに火を点けた。




一体、Y子は何を喋ったんだ?
N子は「Y子ちゃんは悪くないからね」とは言っていたが
僕はY子の口の軽さを呪った。




やれやれ
思いも寄らぬトコロから火が出たな・・・






僕は「ホントわかんない」という顔をしながら


ショックを受けた・宙ぶらりんじゃいられない・旦那とケンカ
というキーワードから、何が起こったのかストーリーを組み立てていった。