13・葛藤

○6月19日:桜桃忌
      →螢火におぼるるごとし桜桃忌
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060619-00000030-sanspo-ent なんてムカつく見出しなんだろう ちなみに個人的に思う殊勲賞は三都主。(少しだけ見た)





「ところでさ」
話が途切れ、一瞬静まった時、僕は話し出した。


いつまでも引っ張っていられない。
いつまでも誤魔化してはいられない。
今言わなかったら、いつ言うんだ?




そんな事を思いながら、僕は意を決してコトバを続けた。










「今日、ありがとね、花火」
僕は思わずコトバを濁してしまった。




「アタシこそ、誘ってもらってありがとうでした」
そう言ってU子はニコっと笑ってくれた。






僕はココロの中で葛藤していた。

「大丈夫に決まってんじゃん。こんだけ仲良いんだし」と僕。
「いやー、わかんないよー。勝手な自惚れだったらどうする?」と、それも僕。
「言っちゃえ言っちゃえ、好きって言っちゃえよ」と、これも僕。
「ダメだったらどうする? 仲良かったのにギクシャクするかもよ?」と、しつこく僕。






そんな事を考えていたら
「ね、今さ、付き合ってるカレって居るの?」
と勝手に口が動いてしまった。




よくよく考えてみれば、地元で最大の花火大会。
カレがいたらそっちと行くに決まってるのだ。


でも、臆病で小心者の僕は、そんな事にまでアタマが回らなかった。




僕は空を見上げているU子の横顔を見ながら
ゆっくりと返事を待った。






やがてU子は僕の方を見て、








ゆっくりと




「・・・・居ないです」


と一言だけ答えた。






「そっかそっか」
僕は正直に、嬉しかった。




「先輩は? 彼女、居ないんですか?」
「ははは。居ないよ。居たらその子と花火大会に来てるよ」
そう言って僕は笑った。






「それもそうですよねー」
そう言ってU子も笑った。








「じゃぁさ、好きな人、居る?」
僕は笑顔を消して、U子にそう聞いた。








沈黙。






そして、沈黙。






「僕・・・・で、どう?」
僕は、何気なく、しかし大事な一言を口に出した。






「え?」
U子は少しビックリしたような感じで聞き返した。






「彼氏さ、僕ってのはどう?」








言っちゃった・・・・






僕は緊張でノドがガラガラになっているのが分かった。





[独り言] みっちゃんPart 2