その2





○11月10日:ハチの誕生日(1914年)
      →忠犬ハチ公
 
 
++
 
 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041110-00000001-mai-soci
ありゃ、かわいそうに。5日間で変わるワケないじゃん。
 
  

  1. +

 
 
信号で車が止まったのでN子の方を見ると、目があった。
N子の瞳は、18歳の頃と同じような表情をしていた。
 
 
 
僕の胸が、一瞬高鳴った。
 
 
 
そのまま視線を合わせている事に堪えられなかった僕は
繋いだ手を離し、N子の髪をくしゃくしゃっと撫でた。
 
 
 
 
 
危なかった。
 
 
 
 
付き合っていた当時、N子はたまに訴えかけるような目をした。
 
 
 
 
 
その瞳は
「目は口ほどにモノを言う」という言葉を100%実践していた。
 
 
 
 
何を訴えているかは、その時々によって違ったが
僕はその目で見つめられる度に、N子を抱きしめていた。
 
 

  1. +

 
 

僕はそのまま抱き寄せたい衝動にかられたが
信号が青に変わったので車を走らせた。
 
 
 
 
映画に行った時もそうだったが、なぜ今さら「N子」なのだろう。
もう別れてから6〜7年経っているはずだ。
 
 
 
昨日も書いたが
僕は、基本的に別れた彼女に対しては興味を持たないハズだった。
 
 
 
 
 
なぜ一瞬とはいえ、抱きしめたい衝動にかられたのだろう。
 
 
 
 
 
僕はそんな考えを悟られないように
車を走らせ、タバコを吸い、他愛も無い会話を続けた。
 
 
 
 
 
ふとN子が
「ぽん、会う度に弱くなってない?」と言った。
 
 
 
 
弱く? なんでだろう。
 
 
 
 
「そう? 弱音吐いてる?」
そんな意識も無いので、僕はN子に問い返した。
 
 
 
 
「んとね、弱音というか、弱ってる感じ(笑」
「そうかなぁ」
「うん。やっぱ老けたんだよ。ジジーだ、ヨボヨボ」
「ジジイ、言うなー(笑」
 
 
 
きっとN子は、僕が「結婚ってさぁ」と愚痴るのに対し
「弱ってる」と思ったのだろう。
 
 
 
 
N子の立場からすれば、そんな事を言われても困るのは分かっている。
 
 
 
 
何が悲しくて
別れた男の結婚生活愚痴を聞かなきゃならんのだ、と思うハズだ。
 
 
 
 
 
「良いじゃん、ジジーでも(笑」
そう言ってN子は、またあの瞳で僕の横顔を見つめた。
 
 

  1. +

 
 
いかんな、この雰囲気は。
 
 
 
N子にその気が無かったとしても
僕にその気が湧いてきてしまうじゃないか。。。。
 
 
  
 
別れた彼女に対し興味を持たない と思っていたし、そう書いてきたが
自分でソレを覆す事になってしまうんだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
もっとも、僕はテキトーなオトコだから
「オトコに二言無し」とか言うつもりは無いんだけど(笑