その3





○11月15日:坂本龍馬、誕生日(1835年)
      →命日は1867年11月15日
 
 

  1. +

 
 
いやその、とっても書きたい事があるんですけど
いろいろと怖くて書けないです(笑
そんなに紳士なら○9歳まで独身なワケないやん・・・
 
   

  1. +

 
 
++今日の矢田++
・こげ茶のヘリンボーン柄BOXスカート、膝下丈
・黒いロングブーツ
・ブルーグレーのニット+グリーンのラインが入ったクリーム色のカーディガン
・オフホワイトのマフラー
 
 
服装の好み度:70%
 
 

  1. +

  
 
「良いじゃんジジーでも(笑」
そう言ってN子は、またあの瞳で僕の横顔を見つめた。
 
 
 
 
いかんな、この雰囲気は。
 
 
 
 
N子にその気が無かったとしても
僕にその気が湧いてきてしまうじゃないか。
 
 
 
 
 
車を走らせながら、繋いだ手に汗が滲むのが分かった。
「ありゃ、なんか汗かいてきた」と言い僕は汗を拭った。
 
 
 
 
「ほんとだ。ドキドキしちゃーう」とN子はふざけて言ったが
僕にはどこまで冗談なのか、判断出来なかった。
 
 
  
 
どうもペースが狂わされているような気がする。
  
 

 
「何バカな事言ってんの?」と突き放してくれた方が、僕も気が楽だ。 
そうすれば余計な葛藤も、面倒な感情も持たなくて済む。
 
 
 
 
 
 
でもN子は、僕の考えを読み透かしたように軽口を叩いてくるのだ。
僕が「その気」になってしまったら、どうするつもりなんだろう。
 
 

  1. +

 
 
僕がN子と別れた理由は簡単な事だった。
 
 
 
 
N子と付き合う前からヨメさんとは仲が良かったのだが
個別に出掛けたりする仲ではなかった。
 
 
 
 
だから僕も特に気に掛けずにN子と付き合いだした。
  
 

 
しかしその後、ヨメさんと出掛けたりするウチに好きになってしまい
それでN子と別れ、付き合いだしたのだ。
 
 
 
 
その選択が正しかったかどうかは考えたくは無いが
別にN子を嫌いになって別れたワケではなかった。
 
 
 
N子は強気な性格とプライドの高さも相まって
「ふーん、あっそ」と言った感じで別れる事に同意した。
 
 
 
その頃は僕も若かったし、それが本意だと思っていた。
 
 
 
 
もちろん未だにその頃のN子の本心は分からないが
ひょっとしたらあれは強がっていただけなんじゃないか?
 
 
 
N子と会話しているウチに僕はそんな疑問を持った。
 
 

  1. +

 
 
渋滞のせいもあり、1時間半ほどで家に着き、N子は本を取りに部屋へ戻った。
僕は車通りの少ない場所へ車を移動し、タバコに火を点け外へ出た。
 
 
 
 
しばらくすると本を持ったN子がやってきて、僕は本を車に入れ、タバコの火を消した。
 
 
 
 
「本、ずっとありがとね」
「ん? いや構わんよ、ちっとも」
 
 
 
 
しかし、本を受け取ってしまうと言うことは、会う口実が無くなる事を意味する。
 
 
 
 
別に口実なんか必要無いのかもしれないが
N子が引越準備の為に荷物整理をしているのは明かだったし
これから会うのが難しくなるのも確かだった。
 
 
 
 
そう考えていると、僕の手は自然とN子の手を取り、身体を引き寄せていた。
 
 
 
 
僕の胸に顔を埋めていたN子は、暫くすると顔を上げ、僕の目を見た。
 
 
 
 
 
 
その目を見た瞬間、僕はN子にキスをしていた。
 
 
 
 
何のためらいもなく、何の前兆もなく、何のセリフもなく
自然な、そしてとても軽い、ほんの少し唇が触れただけのキスだった。
 
 
 
 
 
 
顔を離すとN子は微笑んでいた。
 
 
 
 
僕は自分の取った行動に驚き、うまく喋る事が出来なかった。
 
 
 
「なんかさ、オマエの頭撫でてたら、キスしたくなっちゃってさ」
と言い訳がましく言ってみたが、上手く口が廻らなかった。
 
 
 
あれこれ考えるのも面倒だったので
僕はもう一度キスをし、軽く抱きしめた。