6:見つからない答え


○5月10日:平沢貞道死刑囚、肺炎で死去(1987年)
 →帝銀事件で犯人とされた人。今でも冤罪説は消えてないですな。。。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050510-00000015-dal-ent 演技に騙されてるだけだったりして(笑

僕はN子の目を見て
「喋る? 何を?」と聞き返した。






「今の感情とか状況とか、そういうの」




は?




何を言ってるんだ?
というか、言っている意味がわかってるのだろうか。




つまりそれは旦那に
「アタシは他に好きな人がいて、それはぽんです」
という事だ。




それをやられると、僕としては困った事になってしまう。




つまり
N子喋る→旦那怒る→やっぱりぽんと関係が・・・→ヤツ、何処に住んでいる?
→そういや披露宴の参加ハガキがあったな→逆上した旦那がやってくる
→ヨメさんにN子の式に行った事とか、知られる→しかもN子の気持ちまで知られる
→当然ヨメさんは僕とN子はず〜っと関係があったんじゃないかと勘ぐる




というシナリオが出来上がってしまうのだ
サイアクのパターンとして。




おいおい
そりゃ勘弁してくれよ。
確かに自分で蒔いた種だけど、そこまで大きな問題になっても困るんだよ。




僕はそう思い
「やめとけって。ややこしくなるだけだって」
と言い、N子を思いとどまらせる事にした。




「まぁ、すぐ言うか、ずーっと先かはわからないけど」
と答えたN子だったが、僕より彼女の方が問題を抱えているのも確かだった。






他人事的に言えば




僕とN子の仲を疑う旦那(しかもビンゴだ)
よって恐ろしい程にN子を束縛する旦那
しかし僕を好きでい続けたN子
でも僕の素行(?)を知ったN子
そして束縛され疑われストレスが溜まり、僕に対して疑心暗鬼になったN子






どう考えたってトラブルのタネは僕だった。
だから僕が「大きな問題になっても困る」と思う権利なんて無いのかもしれない。




そして
僕がN子の気持ちと性格と感情の移り変わりを読み間違えたのが
全ての原因だった。




参ったな・・・
これが僕の正直な気持ちだった。




この状況に関して参ったな、と思い
自分自身のミスに対し参ったな、と思い
僕自身の卑怯さに対し参ったな、と思った。


++


僕は何本目か分からないタバコに火を点けた。
そろそろ喫茶店に来てから3〜40分が経とうとしていた。
会社を抜け出しているには限界な時間だった。




「とにかくさ、僕は今の時点では何も答えられないよ」
そう言って空いた手でN子の手を握った。
ここで結果を出せる内容でもないし、出すつもりもなかった。




「うん」
そう答えるN子は、かなり思い詰めた表情をしていた。




「ゴメンな。僕もきちんと考えるからさ。だから少し待ってくれる?」
僕はそう伝え、一緒にお店を出た。




駅まで送りながらN子を見ると
疲れているというより、やつれて見えた。


聞けば昨日も朝方まで旦那とケンカ状態だったらしい。




改札に着き
「じゃぁきちんと考えるからさ、N子もちょっと落ち着きなよ」
と言い、ホームの中へ送り出した。




僕は会社へ戻りながら
僕は一体、何を考えれば良いのだろうと思った。


考えたって答えが出る訳が無いのだ。
もし出たとしても、それはN子との縁を切るか
なし崩しで今の宙ぶらりんの関係を続けるか、だった。


++


それから何日か、N子からは何の連絡も無かった。




やれやれ。一応落ち着いたのかな。




そう思っていた矢先の、ある肌寒い日
N子からメールが届いた。