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○8月22日:安廣一哉 誕生日(1976年)
 →正道会館だっけか。そろそろ勝ち上がってきてほしいなぁ。
  オフィシャルサイト
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050821-00000035-sanspo-ent 出来はどうなんだろう。観に行くかどうか、考え中〜



「ふーん。じゃぁなんで△△なの? 交通の便は悪いし、パスポート必要だし(笑」
僕はもう一度聞いてみた。






「だってさ、友達が「ルームメイトが引越ちゃったから住まない?」って言ってきたんやもん」
「なんだそりゃ。そんな理由?」
「そうやよー。つか、パスポート要らないから(笑」




なんだ、拍子抜けだ。


「なーんだ、てっきりさ、結婚したとか、同棲したとかだと思ってたよ(笑」
「あははは。無い無い、そんな事(笑」
「ふーん。友達、オトコだったりして(笑」
「ちゃうちゃう、○美だよ、覚えてる?」


○美というのは、専門学校でMy子と同じクラスに居た子だった。
僕は、顔はまったく覚えてなかったが、名前は記憶にあった。


「へー。じゃぁなに、また一緒に住んでるんだ」
「うん」




そんな会話をしているうちに、食器のお店に着いた。





一緒に食器を見ながら、僕はMy子の色々な事を思い出してきた。


そういや、和系のモノが好きだったな、とか
アジア系も好きだったっけ、とか
自炊もちょくちょくしてたな、とか。




付き合っていたのは6〜7年前の事だったけど
すっかり色んな事を忘れていたような気がした。


多分、僕の記憶力が悪いせいだろう。






「このお店、おもろいなぁ。また来よ」
何品か購入し、店を出たMy子はそう言った。




「大丈夫? 場所は覚えた?」
僕は笑いながら聞いてみた。


「うーん、多分なぁ。分からんかったら迷ってみるよ」
「ははは。そうしたら笑ってやるよ、大声で」
「迷わん。絶対に迷わんっっ」




そんなやり取りをしながら、また歩きだした。





「しっかし暑いなぁ」
僕は空を見上げながらそう言った。気温は30度をゆうに超し
僕もMy子もじっとりと汗をかいていた。




「お茶しよ。良く行く店があるん」
My子はそう言って、裏路地へと僕を連れて行った。




レンガ貼りのビルに入ったそのお店は、
なかなか良い雰囲気で、ゴハンを食べに来てもくつろげる感じだった。




「ホンマは、夕飯にココ来よう思ったんやけどな」とMy子は言った。
確かにその方が良かったのかもしれないが
ノドも乾いたし、贅沢は言ってられなかった。




僕はアイスオレを頼み、My子はロイヤルミルクティーを頼んだ。


「ケーキも美味しいんやけど、食べてみる?」と言われたが
この暑さでは甘いモノもノドに通らない感じだった。


「うーん、食べたいけどこの暑さじゃなぁ。今度、夜に来た時に食べてみようよ」
僕はそう答えて、ケーキを諦めた。


もちろん、単にケーキを諦めただけではなく、
僕は罠を仕掛けた。




「そやなー。今度、夜に来た時にしよか」
そしてMy子は見事に罠にかかった(笑




説明の必要は無いとは思うけど
「今度、夜に来たときに」というやりとりで
また今度、一緒にこのお店に来るという口約束をさせたのだ。




せっかく、またこうやって会う事が出来たのだ。
この1日だけでまた疎遠になるのは勿体ない。


My子がどう思ってるかは知らないけれど、僕はそう思っていた。






「良い店だね、ここ」
僕はタバコに火を点け、ボソっと呟いた。


「そやろー。この街に来た時は、必ず寄るんよ」
「うん、わかる気がする。落ち着いてるし静かだし」
「夜が多いんやけどね。お酒もあるし」


確かにカウンターにはウイスキーやリキュールが並んでいた。


「ホントだ。カクテルが多いなら、僕でも大丈夫かなー」
「あはは。どうしたん? お酒、弱くなった?」
「んー、どうだろ。最近はあまり呑まなくなったし。My子は? 呑んでる?」
「ウチ? 呑んどるよー。実家、みんな呑むし」




そうだった。
My子はお酒に強いのだ。すっかり忘れていた。




「そういや、強かったっけ、お酒」
「うん。潰される事は無いかな」
「ははは。僕は潰せる事が無いよ。先にコッチが潰れちゃう(笑」





「ところでさ」僕は話題を変えた。
「なに?」




「実家を出た理由って、他にもあるでしょ?(笑」
僕はMy子が話した理由だけだとは思っていなかった。




確かに実家に飽きたという事と、友達がルームメイトに誘った事は事実だろう。
でも、僕だってそれほどバカじゃないし、甘くもない。


他に、まだ理由があるのは感覚で理解していた。




「えー、他に? 無いって別に」
そう言うコトバの端々に、言い辛さや戸惑いが見え隠れしていたのだ。




あまり必要以上に聞き出すのは、この時点では尚早なのは分かっていたので
「ふ〜ん」
とだけ、不満そうに納得をしてみせた。




「まぁ、小さい街じゃけ、面倒な事もあるんよ」
そう言って、My子は笑った。




「へ〜。面倒そうだなぁ」
そう言って、僕も笑った。





まだまだ続きます・・・