その3


○9月28日:8時だヨ!全員集合、放送終了(1985年)
 →すでに20年前なんだ。。。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050928-00000048-kyodo-int 今後の経過が楽しみ。「赤ちゃん宇宙」ってネーミングもなかなか。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050927-00000419-yom-soci 「別の掲示板サイト」で中傷されたからでしょ?訴えたのって。





「次、いつ会おうか」など色々話をしている間
僕の肩に、My子の頭が遠慮がちに乗っかっていた。




僕はその仕草にホっとした気持ちになった反面
ココロの何処かで戸惑いも持っていた。




こうして会う回数を重ねる事に仲良くなってきている。
その度にMy子への好意の量は増えていくし、
My子も少しではあるが、好意を持ってくれている感じだった。


数年振りの再会の前は「別に何もないだろう」と思っていた。
それは確かだ。


でも、僕は初志貫徹するタイプではないので
どうも勝手が違ってきたようだった。


僕の戸惑いの原因は
「N子の時と同じ様な事になったら」ということと
「このまま良い仲になって良いのだろうか」
という及び腰の部分にあった。





その翌週、誕生日が近いMy子と買い物に出掛けた。
My子に自分の誕生日プレゼントを選んでもらうためだ。


駅ビルやファションビルへ行き
あれやこれやと商品を見ながら、My子は欲しいモノを探した。




「うーん、何がエェんやろなー」
My子は繋いだ手をぶんぶんと振り回しながらそう言った。


「何でも良いよ。バカ高いモノじゃなきゃ」
「んー、ブランド時計」
「アホ」
「じゃぁ宝石」
「おい」
「やっぱ車」
「じゃぁ何もやらん!」
「えー、じゃぁミニカー(笑)」


そんなやり取りをしながら、店から店へと見て歩いた。


「どんなモノが欲しいの?」
僕はMy子に聞いてみた。
付き合っていた頃は、何かをあげた事はあったけど
多分ピアスか何かだったし、今では好みも変わっているだろう。


つまり、今のMy子の好みに関しては、僕は無知に等しいのだ。


簡単なアクセサリー系ならば、何が似合うかは分かる。
でも、何を欲しがっているかは、分からなかった。




だから取り敢えずは、自分で選んで貰うことにしたのだ。




「ホント言うとな、何かをおねだりするのって苦手なんやよ」
雑貨屋さんに入ったとき、My子はそう言った。


「そうなの?」
「うん。なんかそういう性格ではないみたいやし、そういうキャラでもないし」
「ははは、確かにそうだなー。キャラではないな」
僕は同意した。




「じゃぁさ、欲しいモノじゃなくて、何か必要なモノにする?」
「それでも良いん?」
「良いよ、もちろん。そうすればおねだりっぽくならないでしょ?」
「うん」
そう笑顔で答えたMy子は、家庭雑貨の店へ僕を連れて行った。





「あー、これ良いなー」
そう言ってMy子が見つけたのは、細身のグラスだった。


僕はそのグラスを手にとって見てみた。
細かい研磨のデザインが入った、綺麗なグラスだった。
ワインよりも、シャンパンやカクテルが似合いそうな。


「へー。良い感じじゃない? これで良いの」
僕はMy子に確認した。


「うん。気に入った」




僕は店員を呼んで2脚包んでもらう事にした。
「え? 1脚でええよ」
My子は少し驚いたようにそう言った。


「アホかオマエ。こういうグラスが1脚だけじゃ、絵にならんだろ」
僕はMy子の遠慮提案を却下した。
「まぁ、そうやけど。えぇん?」
「もちろん」


「割らずに家まで持って帰ってね」
そう言ってグラスの入った紙袋を手渡した。


その場で渡すのもムードが無いが、仕方がなかった。





「ほんま、ありがとね」
帰り際に寄った喫茶店で、My子はそう言った。


「ん? そんな改まって言わなくたって良いよ」
僕はアイスオレを飲みながら答えた。


「うん」
My子はそう言ったきり、黙ってしまった。


しかし、それはイヤな感じの沈黙ではなく
何か言いたげな、思いに耽ったような沈黙だった。




「あんな・・・」
やがてMy子はゆっくりと口を開いた。


「ウチな、こうやってきちんと何かを貰った事って殆ど無いんよ」
「へー。そうなの?」
「うん。だから、ホントに嬉しいんやよ。ありがとね」
「うん」


意外だった。
僕と付き合っていた時はきちんとあげていたが
それ以降はあまり貰ったりしていなかった、という事なのだろうか?


もっとも、その真偽は確かめる気はなかったし
その必要も無いような気がした。




ただ、そう言ったMy子に対し、
僕の中である一つの感情が大きくなった事を感じた。