10:イルミネーション

○2月6日:滋賀の雄琴に日本初のトルコ風呂が開店(1971年)
      →雄琴。すすきの、歌舞伎町、ってな具合
  1. +
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060206-00000003-sph-ent がんばれ〜〜〜



ピアスを渡してから数日後、
僕とW子はいつもと違う街で待ち合わせをしていた。




その日、W子の抱えていた用件が締めを迎え、
簡単な「打ち上げ」をする事になっていた。


もちろんお酒を飲むわけではなく、ケーキで打ち上げだった。




その日、My子は連休でヒマをしているのは知っていたけど
僕は何のためらいもなくW子と会う事にした。





待ち合わせ場所は思ったより人が多かったけど
僕はすんなりとW子と会う事が出来た。


「おつかれ〜」
「おつかれさま〜」


そんな会話をした後、
僕は当然のように手を繋いで、指を絡めた。




寒さと人混みのせいであまり駅から離れる気にもなれず、
そのまま一番近い駅ビルの最上階へエレベーターで上がった。






その日は最初から親密な雰囲気な会話だった。
でも、お互い核心にはなかなか触れようとしなかった。


つまり、相変わらずあまのじゃくな状態だった。




僕が
「ホントは、僕の事をいつも考えてるクセに」
と言えば




W子は
「ぽんさんこそ、いつもアタシの事を考えてるクセに」
と切り返す。




そこでお互い
「うん、そうだよ」と
一言いえばハナシはスムーズになるのかもしれないが、


「さぁ、どうだろうねぇ」
「ふーん、どうでしょうねー」
などとはぐらかしているのだ。





ケーキを食べ終わり、僕とW子は少し散歩をした。
街はクリスマス直前で、賑やかなイルミネーションが溢れていた。


手を繋ぎ、カラダをほんの少し寄せ合って
そんな灯りの中をゆっくりと歩いた。




少し人の波が途切れた場所にベンチがあったので、
僕とW子はそこへ腰掛け、話しをする事にした。




僕もW子もなかなか本心を出そうとはせず、
何かを誤魔化したまま会話を続けていた。


でも、誤魔化している事はお互いバレバレだった。




バレバレなのに誤魔化し続けていたのは
踏み込んで良いかどうか、手探り状態だったからだろう。






W子にしてみれば
僕がどこまで本気なのか量りかねているだろうし
 →きっと




僕にしても
W子がどこまで本気なのか量りかねていた。
 →マジで




どっちもどっちだった。




「ちったぁ素直になってみろよ(笑」と僕。
「ぽんさんが素直に言えばね(笑」とW子。






微かに届くイルミネーションの灯りが
W子の顔を少し明るくしていた。


僕はW子の目を見ながら、ゆっくりとしゃべり出した。




思っている事を伝えるため。




そして、
なるべく正直に、全ての気持ちを伝えるため。





僕はW子の手を握り
ゆっくりとコトバを選びながら喋り出した。




会うようになってからの事
メールをしている時の事
手を繋いだ時の事
次に会うまでの間の気持ち
そして今のココロの在処




いろいろと言い訳がましい事や
遠回しな事も言ったような気がするけど、










「僕は、W子が好きだよ。
 ウソでも冗談でもなく、本当の素直な気持ちとして」




という事だけは正直に伝えた。








W子は僕の目を見ながら静かに耳を傾けていた。




僕は話を続け、最後にこう言った。
















「My子とは 終わらせる」と。





それはずっと考えていた事だった。






W子へ気持ちが移ったと自覚した時、
僕はMy子との関係を終わらせる事を決めた。




これは自分自身の中でケジメをつけるためだった。




そして
今の正直な気持ちをW子に伝えるためにも必要な事だった。






そもそも既婚者であり、他にオンナが居るようなオトコなのだ。
信用してくれ という方がおかしいのだ。




ヨメさんの存在は仕方ないとしても
他の事に関してはクリアにしないとダメだと思った。




そうしないと
「ふざけてるだけかな?」とか
「このヒトにとっては遊びの一つなんじゃないかな?」とか
そう思われてしまうだろう。








しばらく僕の話を聴いていたW子は
やがて口をひらいた。




「アタシね、ずっと「このヒトはどこまで本気なんだろう」って思ってた」
「うん」




「でも、今日、話が聞けて良かった」
「うん」




「でも、まだアタシの中で気持ちがうまく整理できてないの」
「うん」




「だから、少しだけ待ってくれる?」
「待つよ、もちろん」
「ありがとう・・・」




「でも、僕の事、好きでしょ?」
「・・・・うん」




繋いだ手に、
ほんの少しのチカラを込めてW子は頷いた。





[独り言] 階段を甘くみてはいけない。らしい・・・