10:イルミネーション
○2月6日:滋賀の雄琴に日本初のトルコ風呂が開店(1971年) →雄琴。すすきの、歌舞伎町、ってな具合http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060206-00000003-sph-ent がんばれ〜〜〜
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ピアスを渡してから数日後、
僕とW子はいつもと違う街で待ち合わせをしていた。
その日、W子の抱えていた用件が締めを迎え、
簡単な「打ち上げ」をする事になっていた。
もちろんお酒を飲むわけではなく、ケーキで打ち上げだった。
その日、My子は連休でヒマをしているのは知っていたけど
僕は何のためらいもなくW子と会う事にした。
☆
待ち合わせ場所は思ったより人が多かったけど
僕はすんなりとW子と会う事が出来た。
「おつかれ〜」
「おつかれさま〜」
そんな会話をした後、
僕は当然のように手を繋いで、指を絡めた。
寒さと人混みのせいであまり駅から離れる気にもなれず、
そのまま一番近い駅ビルの最上階へエレベーターで上がった。
その日は最初から親密な雰囲気な会話だった。
でも、お互い核心にはなかなか触れようとしなかった。
つまり、相変わらずあまのじゃくな状態だった。
僕が
「ホントは、僕の事をいつも考えてるクセに」
と言えば
W子は
「ぽんさんこそ、いつもアタシの事を考えてるクセに」
と切り返す。
そこでお互い
「うん、そうだよ」と
一言いえばハナシはスムーズになるのかもしれないが、
「さぁ、どうだろうねぇ」
「ふーん、どうでしょうねー」
などとはぐらかしているのだ。
☆
ケーキを食べ終わり、僕とW子は少し散歩をした。
街はクリスマス直前で、賑やかなイルミネーションが溢れていた。
手を繋ぎ、カラダをほんの少し寄せ合って
そんな灯りの中をゆっくりと歩いた。
少し人の波が途切れた場所にベンチがあったので、
僕とW子はそこへ腰掛け、話しをする事にした。
僕もW子もなかなか本心を出そうとはせず、
何かを誤魔化したまま会話を続けていた。
でも、誤魔化している事はお互いバレバレだった。
バレバレなのに誤魔化し続けていたのは
踏み込んで良いかどうか、手探り状態だったからだろう。
W子にしてみれば
僕がどこまで本気なのか量りかねているだろうし
→きっと
僕にしても
W子がどこまで本気なのか量りかねていた。
→マジで
どっちもどっちだった。
「ちったぁ素直になってみろよ(笑」と僕。
「ぽんさんが素直に言えばね(笑」とW子。
微かに届くイルミネーションの灯りが
W子の顔を少し明るくしていた。
僕はW子の目を見ながら、ゆっくりとしゃべり出した。
思っている事を伝えるため。
そして、
なるべく正直に、全ての気持ちを伝えるため。
☆
僕はW子の手を握り
ゆっくりとコトバを選びながら喋り出した。
会うようになってからの事
メールをしている時の事
手を繋いだ時の事
次に会うまでの間の気持ち
そして今のココロの在処
いろいろと言い訳がましい事や
遠回しな事も言ったような気がするけど、
「僕は、W子が好きだよ。
ウソでも冗談でもなく、本当の素直な気持ちとして」
という事だけは正直に伝えた。
W子は僕の目を見ながら静かに耳を傾けていた。
僕は話を続け、最後にこう言った。
「My子とは 終わらせる」と。
☆
それはずっと考えていた事だった。
W子へ気持ちが移ったと自覚した時、
僕はMy子との関係を終わらせる事を決めた。
これは自分自身の中でケジメをつけるためだった。
そして
今の正直な気持ちをW子に伝えるためにも必要な事だった。
そもそも既婚者であり、他にオンナが居るようなオトコなのだ。
信用してくれ という方がおかしいのだ。
ヨメさんの存在は仕方ないとしても
他の事に関してはクリアにしないとダメだと思った。
そうしないと
「ふざけてるだけかな?」とか
「このヒトにとっては遊びの一つなんじゃないかな?」とか
そう思われてしまうだろう。
しばらく僕の話を聴いていたW子は
やがて口をひらいた。
「アタシね、ずっと「このヒトはどこまで本気なんだろう」って思ってた」
「うん」
「でも、今日、話が聞けて良かった」
「うん」
「でも、まだアタシの中で気持ちがうまく整理できてないの」
「うん」
「だから、少しだけ待ってくれる?」
「待つよ、もちろん」
「ありがとう・・・」
「でも、僕の事、好きでしょ?」
「・・・・うん」
繋いだ手に、
ほんの少しのチカラを込めてW子は頷いた。
☆
[独り言] 階段を甘くみてはいけない。らしい・・・