5・「好き」が消える時

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060830-00000032-sanspo-ent&kz=ent
なんすか?「ゲーム感覚の合意」って。
■今日のアクマ■

「政治」
「主義主張の争い」という美名の影に正体を隠している、利害関係の衝突。 公ではなく私の利益のために国事を運営すること。

引用:新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)



ーーー1991年初夏


高校を卒業する前に車の免許を取った僕は
休みの日になればU子と車で出掛けた。


僕の家に来た時も、帰りは車で送っていった。




門限の厳しいU子と付き合うには、車はなかなか便利な道具で
遊びに行くにしても時間ぎりぎりまで会っている事が出来た。
家の近くまで車で行き、そこで時間までお喋りしていれば良いのだ。


U子の家の辺りには小高い山が幾つかあったので、
その道を登っていけば、そこはまぁ上質な夜景が見れるスポットだった。


もちろん、僕が気付くくらいだから、誰でも知っているような場所で
地元では有名な場所だった。




そうやって夜景を見ていた時に限った事では無いけれど、
二人で寄り添っていると、僕は当然U子のカラダを触りたくなる。


だから腰に手を回したり、軽くキスをしたり
ちょっと強引な事をしたりもした。




僕の家に遊びに来たりすれば、当然SEXだってしたくなった。


ただ、U子はその時まだ17歳で、何度か僕とSEXをしていたけれど
いつも緊張し、どこか恐怖感のようなモノを感じていた。




僕にはその心情が分からなかった。
「何で怖いと思うの?」とか
「そのうちに慣れてくるよ」などと言って緊張を解そうした。
もちろん僕は必ず避妊をしていたが、U子は妊娠を最も恐れていた。






僕もU子も夏休みに入ると、毎日のように会っていた。
お互い夏休みの宿題があったので、僕はU子の住む街まで行き
一緒に図書館で宿題をした。


その後はそのまま帰る時もあったり、U子の家に行ったりもした。
U子の家は、その時母親が再婚し、新しい父親と3人暮らしだった。*1
とても雰囲気の良い家庭で、僕も一緒にゴハンを食べたりしていた。





夏休みのある日、僕は「集まり」関係で出掛けており、
2泊3日の旅行が終わると、そのアシでU子の家に向かった。


お土産もあったし、何より顔が見たかった。




「ただいまー」
僕は日焼けした顔でU子の前に現れた。
「おかえりなさい」U子はそう言って笑顔を見せた。


夕方だったので風も少し心地よく、僕とU子は近くの公園のベンチで
ジュースを飲みながらハナシをしていた。


僕は3日間で起こった出来事を話し、U子はそれを聞いていた。
一緒に行ったメンバーは、U子も知っている人たちで
「○○先輩はその時どうしてたの?」など、笑いながら聞いていた。




ふと、会話が途切れた時、蝉の疲れ切った声に混じり
「あのね・・・・」とU子が小さな声で呟いた。




「ん? なぁに?」
僕はU子の方にカラダを向けて聞き返した。


「ここ最近考えていたんだけど」
「うん」










「別れようよ」


その一言は、僕にとって全く予想外の言葉で
U子が何を言っているのか理解出来なかった。






ーーー2006年


「え? ええええ? イキナリだったの?」
W子は一重のかわいい目を大きく見開いて驚いた。


「うん、イキナリ。前兆も何も無く」
「ひゃー驚き〜」
「でしょ? でもさ、僕にとっては突然だったけど、U子にとっては考えた末、なんだよ、きっと。
 だって、W子だって似たような感じでしょ? 今」
「あははは、確かに(笑」
そう言ってW子は笑った。


「急に言われてさ、僕もワケが分からなくて、なんで? って聞いちゃったもん(笑」
「そりゃ聞きたくなるよねー。U子ちゃんは、何て答えたの?」




「簡単に一言だったよ。「もう、好きじゃなくなったの」って」






ーーー1991年


「もう、好きじゃなくなっちゃった・・・」
U子は俯いて、小さな声でそう言った。




「ちょ・・ 待ってよ、なんでいきなりそうなるの? ワケわかんねーよ」


僕は混乱し、U子は沈黙を守っていた。





[独り言] めーがー

*1:U子の姉は実父と暮らしていた