11・謝る事ができない男
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061012-00000010-oric-ent オリコンもがんばるねー。ここも結果操作が大好きだし(笑
■今日のアクマ■
「希望」
欲望と期待を丸めて一つにしたもの
引用:新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)
W子は彼に別れを告げた。
と、言ってもそれは留保付で、
その場ですぐに「ハイさよなら」とする事は無かった。
もちろんW子の心づもりは「彼と別れる」と決まっていたが
言いたい事を言って、彼にも少しは反省してもらわないと気が済まない。
そんな心境だった。
だから彼を呼びだして、W子は不満に思っていた事をブチ蒔けた。
☆
W子の彼は僕よりも年上だったせいか、彼女に対し高圧的だった。
それは命令口調とか、締め付けが厳しいという事でなく、
正しいのは彼・間違っているのはW子
という彼の認識だった。
何か二人の間に問題が起きても、悪いのは全てW子で、
彼は決して謝る事は無かった。
仮にW子が文句を言っても
「そう思われてるのは心外だ」という雰囲気で
「自分は悪いハズがない」というスタンスを崩す事がなかった。
W子はそんな彼の態度に付き合って
「はいはい、そうですね」という「年下の彼女だけど母親」のような気持ちだった。
しかし、その彼の態度に対しW子は危機感を覚えた。
☆
W子と彼が付き合いだしたのは、W子が大学生の時で、
彼としてはW子が卒業したら早いうちに結婚をし、
さっさと子供を産んでもらって、家庭に入ってもらいたがった。
当然、彼のご両親もそれを望んだが、
そこに、W子の20代の生活や、仕事の事などは考慮されていなかった。
このまま結婚したら、アタシは何も出来ない。
仕事だってやらせて貰えない
そして確実に、即子供を求められる。
そうW子は思った。
子供の事は特に重要だった。
彼はその時点で30代半ばで、しかもかなりカタい職場に勤めていた。
当然、出世には家庭を持つことが暗黙の了解として存在する。
しかしW子はのらりくらりと結婚の話題から避け
就職もし、仕事を始めた。
仕事を始め、環境が変わり、仲良しの男の子ができ
ちょっとオトナな関係になり、
そしてW子のわだかまりは確信に変わった。
「アタシは彼と結婚しても良いけれど、今はしたくない」と。
まだ、色々とやりたい事もあるし、仕事だって楽しい。
それなのに、彼の望みを叶えた時点で、アタシに自由は無くなる。
そう思い始めたW子は、少しずつ冷めた目で彼を観察するようになった。
☆
W子は彼に対し不満に思っていた事、
納得いかなかった事、
イヤな気持ちにされた事、
そういった事を伝え、
「少し距離をおいて、お互い考え直した方が良いんじゃない?」
という言葉で締めた。
「結局ね、彼は奥さんが欲しかっただけなの。
たまたまアタシと付き合っていただけで、アタシを奥さんにしたかったワケじゃないの」
W子は彼に別れ話を切り出した後、僕にそう言った。
☆
[独り言] 乗り過ごし