11・謝る事ができない男

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061012-00000010-oric-ent
オリコンもがんばるねー。ここも結果操作が大好きだし(笑
■今日のアクマ■

「希望」
欲望と期待を丸めて一つにしたもの

引用:新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)



W子は彼に別れを告げた。




と、言ってもそれは留保付で、
その場ですぐに「ハイさよなら」とする事は無かった。




もちろんW子の心づもりは「彼と別れる」と決まっていたが
言いたい事を言って、彼にも少しは反省してもらわないと気が済まない。


そんな心境だった。




だから彼を呼びだして、W子は不満に思っていた事をブチ蒔けた。





W子の彼は僕よりも年上だったせいか、彼女に対し高圧的だった。




それは命令口調とか、締め付けが厳しいという事でなく、


正しいのは彼・間違っているのはW子
という彼の認識だった。




何か二人の間に問題が起きても、悪いのは全てW子で、
彼は決して謝る事は無かった。




仮にW子が文句を言っても
「そう思われてるのは心外だ」という雰囲気で
「自分は悪いハズがない」というスタンスを崩す事がなかった。




W子はそんな彼の態度に付き合って
「はいはい、そうですね」という「年下の彼女だけど母親」のような気持ちだった。




しかし、その彼の態度に対しW子は危機感を覚えた。





W子と彼が付き合いだしたのは、W子が大学生の時で、
彼としてはW子が卒業したら早いうちに結婚をし、
さっさと子供を産んでもらって、家庭に入ってもらいたがった。


当然、彼のご両親もそれを望んだが、
そこに、W子の20代の生活や、仕事の事などは考慮されていなかった。




このまま結婚したら、アタシは何も出来ない。
仕事だってやらせて貰えない
そして確実に、即子供を求められる。


そうW子は思った。




子供の事は特に重要だった。


彼はその時点で30代半ばで、しかもかなりカタい職場に勤めていた。
当然、出世には家庭を持つことが暗黙の了解として存在する。




しかしW子はのらりくらりと結婚の話題から避け
就職もし、仕事を始めた。




仕事を始め、環境が変わり、仲良しの男の子ができ
ちょっとオトナな関係になり、




そしてW子のわだかまりは確信に変わった。


「アタシは彼と結婚しても良いけれど、今はしたくない」と。




まだ、色々とやりたい事もあるし、仕事だって楽しい。
それなのに、彼の望みを叶えた時点で、アタシに自由は無くなる。




そう思い始めたW子は、少しずつ冷めた目で彼を観察するようになった。





W子は彼に対し不満に思っていた事、
納得いかなかった事、
イヤな気持ちにされた事、


そういった事を伝え、




「少し距離をおいて、お互い考え直した方が良いんじゃない?」
という言葉で締めた。








「結局ね、彼は奥さんが欲しかっただけなの。
 たまたまアタシと付き合っていただけで、アタシを奥さんにしたかったワケじゃないの」


W子は彼に別れ話を切り出した後、僕にそう言った。





[独り言] 乗り過ごし