CROSS LINE 3

 8・儀式の電話

□2006年6月・4□ 僕は少しでも早くW子に会いたかったけど、 現実問題として病院には顔を出さなくてはならなかった。 ましてや産まれた翌日ともなれば。 ☆ 久々に一人の朝を迎えた僕は、W子にメールの返事を送った。 W子の配属が変わった4月から、僕は毎朝6時…

 7・おかえり

□2006年6月・3□ ■「[CROSS LINE 3] 1:きっかけ」の午後■ 子供が産まれて、僕が最初にやらなくてはならない事は、 娘の名前を考える事だった。 産まれてくるまで性別が分からなかった事や どうしても、産まれてくる事に対して手放しで喜ぶ事が出来なかった事…

 6・二人の不安

□2006年6月・2□ W子が仕事を辞めなかった理由は 逃げたくない 負けたくない という、良い意味での前向きな仕事に対する姿勢と 僕に子供が産まれてくるという事実から目を背けたいという 「忙しければ考えなくて済む」という私生活の部分からだった。 ☆ 出産…

 5・コトバ

□2006年5月□ W子と仲良くなりだしてから、 つまりCROSS LINEを書き出した頃、彼女は仕事がまだ楽だった。 だから平日にも早い時間から会う事も出来たし、 巧くいけばお互いが休みを取って出掛ける事も出来た。 土日は僕はヨメさんと買い物する事が多かったし…

 4・少しずつ

□2006年2月□ W子を初めて抱いた後に感じた「結果として隣にいるのがW子でもいいかな」 という感情は、その後も薄れる事はなかった。 ☆ My子と終わらせた後、僕はW子に「どんな事を話したか」を正直に伝えた。 「やっぱ、鬼だよね、僕」 僕は半笑いでそう言っ…

 3:その真相

□2006年1月□ 本当の事を話したからといって、全てを語っているとは限らない ■「[CROSS LINE] 12:その日だけは」とその真相■ ■「[CROSS LINE] 3:My子からのメール」とその後日談■ ☆ 「誕生日、何か欲しいもんあるん?」 My子から、そのメールを受け取ったの…

 2:とまどい

□2005年12月□ ヨメさんの妊娠が分かったのは、2005年の12月の事だった。 それはW子と最初に会った日(CROSS LINE ・5)と 2回目に会った時(CROSS LINE・7)の間の事だった。 ヨメさんが「今日、病院に行って来たの。3ヶ月過ぎてるって」 と言った時、僕は素直に…

 1:きっかけ

□2006年6月□ そもそものキッカケは、1本の電話だった。 その日、つまりW子の誕生日を10日近く過ぎたある日、 僕は1本の電話を受け取った。 ☆ W子の誕生日は平日だったので、その数日前の日曜日、 僕は色々と理由をつけて家を出た。 朝からW子と会い、お昼を…

 0:はじめに

クロスライン:線と線が交わる事。 ☆ このコトバは造語なんだろうけど、 なんとなくアタマに思い浮かんだ。 だからどう、と言うワケではないんだけど。 ☆ そんな書きだしで「CROSS LINE」を書き始めたのは昨年の1月の事。 それから1年が経ちました。 そして…